そもそも脳波とは?(2/2)
そもそも脳波とは何か?(2/2)です。
少しややこしい話ですが、脳波とは?の根っこの部分になりますので、ぜひ理解のために読んでみてください。
脳波=シナプス後電位
脳波(脳電位)は、”シナプス後電位”と呼ばれる電気信号の集積体。
なんでもいいけれど、外からの刺激があると、ピっ!と脳電位が生じる。そしてピっ!と脳電位が生じると、その周りのシナプスがわわっ!と反応して、みんなでビビビっ!と脳電位を生じさせる。
これが、シナプス後電位と言われるものです。
小池都知事もよく言っていた”ファーストペンギン”についていく”後ろのペンギンたち”のイメージですね。
基本、脳波計で計測する脳波は、このシナプス後電位の集積です。
最初のピっ!と言う脳電位は、”活動電位”と呼ばれるものなのだけれど、これは刹那的すぎて、機器で計測することはできない。
ファーストペンギンは取得できないのです(ファーストペンギンが目立つ世の中とは違いますね)。
脳のどの部位が反応しているか、脳波からわかる?
脳は、その部位によって担当している機能が異なります。後頭部は視覚情報を処理していたり、前頭部は思考を司っていたり、右側頭部は言語処理を行なっていたり、などなど。
数々の過去の研究から、どこがどんな機能なのか、”脳の地図”はもう概ね明らかになってきていて、意外に細かい区分けがされています。
だから、例えば前頭部で脳波が反応していたから「これは思考に関する信号だ!」と、脳波を測定する部位から、何かの意味を見ることはできそうな気がする。
でも、これが意外と難しい。
脳から直接測れれば…
脳波は、脳→頭蓋骨→頭皮を経由して計測される。
(もっと厳密に言うと、脳→髄液→クモ膜→硬膜→頭蓋骨→筋肉→頭皮を経由)
マトリックスみたいに、脳に直接電極を刺して計測しているわけではない。
だから、例え前頭部で強い信号が出てきたとしても、それは”(おそらく)脳の前の方から出てきた信号の集積”であって、厳密には”前頭部からの信号”そのものではない可能性がある。
ならどうする?センシング手法によるアプローチ
その解決のために、とても多い数の電極を持った脳波計を使ったりする。
頭皮上に、細かい間隔でとてもたくさんの電極を配置して計測すれば、それぞれの電極の信号の強さを細かい間隔で比べることができる。そうすると、”ここからの信号が強い”と細かく見ることができ、”前頭部からの信号”も特定できる可能性が高い。
部位特定が難しい理由2点
でもそれでも、脳の中の本当の”信号源”を捉えるのは難しい。
大きく理由は2つ。
1つ目:どれくらい”深いところからきたか”が分からない。
計測した脳波信号はあくまで”頭皮上での信号”なので、脳の中のどれだけ深いところからきたのかは分からない。なので、それこそ脳の真ん中あたりにある部位の反応を見るのは、脳波では難しい可能性が高い。
2つ目:信号を計測した頭皮の真下が信号源だとは限らない。
脳はご存知の通りしわしわで、溝がある。たくさんあるこの溝のせいで、脳から出てきた信号が真上(?)には出ていかない。頭皮からナナメに出て行ったりする。なので、”ここから大きな脳波が計測されました!”と言っても、本当の信号源はその横だったりするかもしれない。
少し短めですが、ここまで。
次回は脳波を計測する手法に関して説明します!